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星降る夜のモノガタリ 

stella white12

星降る夜のモノガタリ  星恋詩――もうひとつの物語

小説・掌編

この後、6作位続く予定です……;

本当は、内容的に読み切りにしたかったのですが、何分長さが長くなってしまったもので;




世界の,どこかに住む,星の話.

白馬の殿に見覚え、在りませんか……?






それでは、追記からどうぞ……
星降る夜のモノガタリ  星恋詩――もうひとつの物語

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「ああ……」


天に一番に近い地の,一番高い丘の天辺で,名も無き星の男が一人.

高くて低い,響く声で呟いた.


音は空気へ響き,伝わり,近くにあった星を三つ,カラカラと揺らした.


「ああ. どうしたものだろうか」


一刻前,この男の元に,蛇使いの男が現れた.

蛇使いは男をジイと見,蛇が小さく舌を鳴らした.


「貴方は,この世界が何によって成立していると思われるか,無辜ムコの星の殿」


トウトツに蛇使いが問うた. 所々で舌の音がした.

男は,小さく唸り,考え考え星を五ツ程浮かべたが,上手い言受けが浮かばなかった.


「はて. 何分考えたことが無いもので. よく解りませぬ. 申し訳ない,蛇使いの殿」


「いや,こちらこそ申し訳ない. 無辜の星の殿. 御無礼を申し上げた」


蛇使いは,スウと深く深く礼をし,蛇も短く舌を鳴らし,共に頭を下げた.

男は,驚き星を一ツ出し,慌てて頭を上げさせた.

それから蛇の頭に触れる時に一歩退き,蛇使いがフッと口元を緩めた.


「よい言受けが浮かびましたら,報告いたしましょう. 鵜鵲ウジャクに便りを載せます」


「とんでもない. 当方が勝手に申したこと故,貴方を煩わせるわけにはいかない」


「いえ,私も知りたくなったもので」


そう言うと、男はフッと微笑んだ. 


「それでは,鵜鵲橋にて,待っております故」


「少し,時を有するやもしれませんが」


其れでは,と蛇使いは去った.

男は独り. 丘に上がった.


それから一刻の時がたつ.


「ああ……」


男が再び呻き,声を響かせた.

響いた声は,遠く遠くの星にコツと当たり,また男の元に戻った.

その音がしばらく響き,男は小さく唸りながら一度伸びをして起き上がった.


「つくづく解らないうえに,何か大きな穴が空いてしまったかのようだ」


トンと額に指の先を当て,ううんと唸る.

パパパッと,星のかけらが舞い,サラサラと散って消えた.


「どうにも落ち着かない. 銀の海神ワタツミの姫君へ訪ねてみようか」


男はフウと立ち上がり,衣にこびついた星の実を払うと,天へ大きく息を吐き出して歩き出した.

しばらく歩き,姫の居館の近くまで来た時,男の後ろからシンシンと声がした.


「久方ぶりです. 無辜の星の殿方」


男がツイと振り向くと,其処に居たのは銀の海神の姫だった.


「これはこれは,銀の海神の姫君. 今しがた,貴方に会いに行こうとしていたところでした. これは好い目をみました. 今宵,御気分は如何です?」


男が眼を瞑り礼をすると,姫はクスと微笑んだ.

吊られて男もススと笑った.


「無辜の星の殿方,今宵,何かお探しですか?」


「ええ. 今生の在る意味を探しに」


姫はハタと瞬きをし,ポポポと星のかけらを散らせた.

それからフフと口を緩めた.


「なるほど. それで此方の処へ?」


「ええ. 姫君はどう思われるのか,お尋ねしようと思いまして」


男が胸に手を当て頭を下げ,姫はスウと眼を細めた.


「蛇使いに逢ったのですか,殿」


「ええ. 御存知でしたか?」


「いいえ. しかし,彼の考えそうな事です」


そう言い,姫は小さく微笑んだ. 


「ふむ.では,此方の考えを一つ. 

その問いに,解は無い,と此方は考えます.

故,浮世には数多アマタの説があるでしょう. 

幸か不幸か,貴方は此方と違い,遠く離れた地まで移動することができる.

貴方の心に落ちる解を,探しに行ってみてはどうでしょう」


シャンと星を散らして姫が微笑んだ. 

男はその星をジイと眺め,やがてクスと笑った.

星が舞って,周りに降り,そこに小さな渦ができた.

姫は渦を見つめ,男もまたジイと見た.

見たところから亀裂が走り走り,稲妻となって天に消えた.

其の渦の在ったところを男が手で軽くかき混ぜた.


「果たして,其の旅で私が何かを得ることが出来るのか否か. 私には前知することができませんが,それも面白いかも知れません. 助言を有難う御座います,姫」


「無辜の星の殿よ,貴方ならば,きっと心に落ちる解が見つかるであろう. 蛇使いには,宜しくと告げてください」


「ええ. 必ず. それでは,また逢う日まで」


「また逢う日まで」


男と姫は,一度指の先を合わせ,同時にフッと礼をした.

それから男は己の居館の在る方へ,姫は其れと反対の方へそれぞれ進んだ.

二つの在ったところに星のかけらが揉み合って渦を巻いていた.


男が自らの住処に着いた時,天を星がひとり走り横切った.

男は小さなnノウに少しの荷物をまとめスックと立ち上がると,空気を混ぜて星を一つ作り,天に放った.

舞いあがった星は一度地の直ぐ傍まで落ち,そしてまた昇っていった.

それから男はグウと伸びをして,蛇使いとは反対の方へ,河から離れて歩きだした.


幾日か卯の方向へ進んだ時,男は黄金コガネの翼の白馬の殿に出会った.


「久方ぶりにお目にかかります,白馬の殿方.」


男が深く礼をすると殿はフッと振り返り,瞳を丸くして蹄をカッカと鳴らした.


「これはこれは,無辜の星の殿. 今宵はどうされた」


殿は,首をモタげ,スウと瞳を細くした.


「白馬の殿,突然の問い掛けをお許し下さい. 

殿,貴方は今生が何故に存在すると考えますか」


殿は三度眼を瞬き,小さな星を一つ飛ばした.


「なかなか趣のある問い.

その問いに,答えは沢山あるだろう.

我の考える答えでよいのなら,お聞かせしようか」


殿は一度プツツと眼を閉じると,男の方へ一歩寄り翼を震わせた.


「我らの,今生が何故に存在するのか,と言ったろうか.

我は,我らもこの世も存在の意味を持っていないと考える.

我らは此処に存在して,そして全てが無に帰る.

此の事を無常とするのか,故に貴殿の様に理由を探すことが出来る幸せと捉えるのか.

無に帰ることの自由,この様に我は考える.

之でよいのだろうか,無辜の星の殿よ」


黄金の翼の白馬の殿は,一度フワワと翼を広げ,その翼から黄金色の星が生まれた.

男は暫し,ソレに見惚れ. 黄金の星が,天に昇るのをシンシンと見上げた.


「殿,答えは他にあるかも知れないし,之が殿にとっての答えとなるかも知れない. 

確かに我は貴殿より,少しばかり長くこの世に在る.

然し,考えることにおいては,何が正しいということは無いだろう.

大切なのは,己の考えを信じることだ.

自らが考え,そうして違うモノへ変化することは,望ましいことだろう.

然し,周囲に流されることほど愚かなことは無いのだと,我は考える」


殿はフッと天を見上げ,その純白の毛並みを風に乗せ翼を大きく羽ばたいた.

ルググと星が渦巻き,輝き爆ぜた. 

男はソレを見て,掌の上に一つの小さな星を創り,渦へ放った.

放られた星は渦の中に吸われて廻り出した.


「無辜の星の殿,探しに行くと良い.

貴殿が信じることの出来る考えの,イシズエを築く答えが見つかる事を,願っているよ」



「有難う御座います. 

私には未だ,蛇使いに絶対の矜持を持った言受けが出来ない気がします故,もう少し先へ進もうと思います.

白馬の殿,助言を有難う御座いました.

殿に至高の幸あれ」


男はそう言い,胸に手を当て礼をした.

殿は男を細めた眼で見,一度小さく頷いた.

そうして,男の下げた頭にスッと手を乗せると,一つ小さく呟いた.


「若葉のうちに,世界を見てくると良い.

時はすべてのものに等しいものであるから」


それから男は一度礼をして歩きだした.

白馬の殿が静かに其の黄金の翼を動かした.

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テーマ: 詩・想 - ジャンル: 小説・文学

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コメント

花丸二重丸

清々しい時の流れの中にあっても、要所要所に熱を帯びる紅が散りばめられていて、行間を読む楽しさに陶酔できました。
最近は、小説しかり、映画やドラマもしかり、説明じみたセリフが多過ぎて興醒めしてしまう傾向にあります、個人的な好みの問題かも知れませんが…。
行間を読ませることも余韻を漂わせることも、書き手の力量如何(いかん)で為し得ます。
伸び盛りの若木さん、まっすぐ前を見据えて進んで行ってください☆

コッコ #- | URL
2012/11/02 13:53 * edit *

コッコ さま

こんばんは。

ありがとうございます!!!
澄んだ雰囲気、出せていましたでしょうか……?
長々と引きずってしまったのではないかと、心配で><

楽しんでいただけましたら、幸いですm(__)m

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2012/11/05 23:49 * edit *

こんばんは。

本当にスカイさんらしい作品です。真冬に満天の星空を見あげた時に、星が一斉に瞬いている、そういう清らかさに似ている文章だと思いました。しかも、リズムがあって、とても美しいです。

とても難しいテーマを扱っていらっしゃるので、最後にどうなるのだろうと、興味津々です。次回も楽しみにしています。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL
2012/11/10 06:06 * edit *

こんにちは。

このようなお話を山西が書くことは一生涯ありますまい。

空想に中にだけ存在できる素晴らしい世界をお持ちですね。独特の文章、表現は時として難解ですが、きちんと構成されていてとても深い物語になっています。深いですよスカイさん。
結論をどのようにつけられるのか楽しみに待っています。

山西 左紀 #0t8Ai07g | URL
2012/11/11 14:35 * edit *

 こんばんは。
以前 此のブログ上で 生きている意味は 何だろうと 問われていた事を覚えています。
其の問に対する 一つの回答 想いが 此の作品なのでしょうか。
如何様な想いを 描き出すのか 楽しみです。

ウゾ #- | URL
2012/11/11 17:42 * edit *

夕 さま

こんばんは。
御返事が遅くなり申し訳ございませんm(__)m

ありがとうございます!!
うああああぅ
真冬の星空!?
目から塩が!
リズム感は、特に意識しているところなので、そう言ってくださると嬉しいです!

実はこの作品の最後、自分の中でもまだ定まっていません。
この作品を仕上げるうえで、探すことができたら、と思っております。

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2012/11/30 20:05 * edit *

左記 さま

こんばんは。
御返事が遅くなり、申し訳ございませんm(__)m

ありがとうございます!
空想は好きなのですよね^^
The Sky world (笑)
構成は苦手なので、途中で先が見えなくなってしまうのです><
そう言っていただけると嬉しいです!!
深いだなんてわひゃー!!

作品、上手く纏められる様に頑張ります!

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2012/11/30 20:34 * edit *

ウゾ さま

こんばんは。
ご返事が遅くなり、申し訳ございませんm(__)m

ええ、覚えていらっしゃいましたか?
実は‘白馬の殿’の考え方、ウゾさんの考え方を参考にさせていただいたのですよ。
この作品、あの質問をしたときから考えていて……そして他に答えてくださった美馬さんの考え方も……
おっと、ネタばれに(笑)

この作品と共に、成長していけたら、と思っている所存です。

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2012/11/30 23:19 * edit *

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