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星恋詩Ⅶ 

stella white12



今回の話を書く際イメージした曲。宜しければBGMにどうぞ







男は歩いていた.

姫の残した星の欠片を一つ,カラカラと手の上で転がし,闇の中を独り歩いていた.

男の尾が揺れる度,其処には淡い光が生まれた.

其の先に羽を持つ小さな獣が集まった.

男は初め,気にする様に振り返っていたが,今では時折シャララと尾を振るだけだった.

しばらく歩くと,闇の先にかすかに淡い光が見えた.

淡い光は男の手の中の星の欠片よりも煌めいていた.

男は一度振り返り,群がっていた獣を暫し見つめた.

そうして,シャララと尾を振ると,光の方へ向かって歩いた.


光の元は,湖だった.

其処は,天の川に等しく澄んでいて,澄んだ新橋色だった.

広く底の無い,岩と水草が処々に在る其の湖は,サラサラと波を打ち,時折小さく煌めいた.

只,其処で動くものは水だけで,男の尾に群がっていた獣達も一つ残らず消えていた.

男は静かに息を吐き,何度か大きく尾を振った.

尾から幾つか星が出て,誰にも触れる事無く水へ沈んだ.

泡が三つ,弾けて消えた.

其れを男はジイと見て,暫く動かず見ていたが,きびすを返して湖畔を離れた.


「獣を見るのは久方ぶり.此方へいらっしゃいよ,獣の子」


数歩歩いた時湖から声が聴こえた.

男は立ち止まり,一度地面へ目を落とし,一息吐いて振り向いた.

声の先には,岩が一つ在り,其処に一人,鱗を持つ水の乙女が座っていた.


「此の辺りは人気が少なくて.誰も通らないの」


そう言って乙女は肩をすくめた.

乙女は一枚の布を纏っていて,其れは七色に色を変えた.



「少しお話しましょうよ.此方へいらっしゃって」


乙女が優しく手招きをして,男が小さく眉をひそめた.

乙女の尾が水を掻き,サラサラと湖が波打った.

男は一歩退き,近くの岩に腰かけた.


「断ろう.此方に住む乙女は,獣を喰らうと聞いたものでね」



「あら,利口なのね,獣の子.其の知識は上で手に入れたのかしら?」


乙女は男の尾に光る星の欠片を見,天を指差しそう言った.

男は僅かに眉を寄せ,天を見上げて呟いた.


「お前が知る必要はないだろう」


フフと乙女が小さく笑った.

其の笑い声は高く響き,不思議な反響を生んだ.

男はフッと天を見上げ,小さく顔をしかめた.


「貴方は正しいわ,獣の子.確かに私は獣も食べる.只,喰うのは身体じゃないのよ」


ニヤリと乙女が,子供の様に笑った.

男は一瞬首を傾げ,直ぐに嗚呼,と呟いた.


「……心か」


「ええ,賢いのね.心に生まれた『悲しみ』を,私は喰って生きているの.

其れから.貴方の心泣いている.見るに堪えないほどにね.気が付いているのかは解らないけれど.

お願い,其の悲しみ私に食べさせて頂戴よ」


乙女は男に乞う様な,けれど遠慮する様な顔をして,尾で水を掻き,手で水を掬った.

掬われた其れはシトシトと手からこぼれ,水面に着く前に宙で消えた.

男は静かに其れを見つめ,尾を振り一つ星を放った.

星は小さく震え,水に呑まれ消えた.


「喰われると,どうなるのだ」


「私が食べた,全ての悲しみが消えるわ.

貴方にも,私にも良い話だと思うけれど」


乙女はそう言って首を傾げ小さく笑った.

尾が小さく光り,鱗がリラと靡いた.

男は少し驚いた顔をして其の尾を見つめ,目を細めた.


「私の此の悲しみは,私の今までなのだよ乙女.

私は此れを,忘れる訳にはいかないのだ」


聞いた乙女は目を開き,フッと悲しい顔をした.

乙女の鱗が一枚剥がれ,小さな歪んだ星になった.

小さな星は宙に浮き,天へ届く前に粉になって消えた.


「固い人ね.相変わらず」


乙女は呆れたように呟いた.只,聞く前から其の事を知っていたようでもあった.

でも,と乙女が呟く.


「其れじゃあ此処では生きて行けないわ」


「それでもいいさ.私には私の,すべき事がある.

其れには此の悲しみが必要なのだから」


男は少し,悲しげな顔をした.

其の目はジッと乙女を見ていた.


「其れでも最後は,私の様になるのよ」


乙女は吐き捨てるようにそう言うと,鱗の光を手で払った.

光は一瞬宙に煌めき,直ぐに粉となって消えた.


「落とされた者は皆,お前と同じ道を辿ると誰かが言ったのかい?

全てを終えた後に,私がお前のようになったのなら,其れは又運命として受け入れよう.

何も始めていないのに,お前と同じ道を辿ろうとは思わないがね」


「そう…….そうね.貴方がそう言うのなら」


儚げに乙女が笑った.自らを笑った様でもあったし,男を笑った様でもあった.


「御免なさいね,邪魔をして.先へ行くのでしょう?」


「目指すモノは無いがね.止まるわけにはいかないのだよ」


男は幽かに笑い,尾を振り星を三つ放った.

三つの星の二つは水面に呑まれて消え,残った一つは宙を舞い,乙女に当たって融けた.


「上に居た頃の貴女は,其の美しい声で私に唄を歌って聴かせてくれた.其の歌声が,私は好きだったよ」


乙女はフッと笑い,天を見上げ目を閉じた.


「そう,ありがとう」

「御達者で」


乙女が小さく手を振り,男が静かに礼をした.


「有難う.貴方も」


男は踵を返し,湖を後にした.

辺りに,切ない,しかし清らかで美しい歌声が響いた. 




名称未設定

こんばんは。

久々の星恋詩です。


あまりに久々過ぎて、書き方がわからなくなってしまい大変でした(笑)


まず、補足として。


新橋色、こちらです。⇒sinbasi.jpg

他に、沢山の色(まさか名前が付いているなんて私も知らなかった)は、こちらのリンクから。



今回の話から、別章です。(?) 

続きものの読みきりという感じになります。



さて、今回の話は今までの話とは違って、乙女と男の関係が対等になっています。

そして、同じような境遇ですね。

其れからもうひとつ、微妙に、本当に微妙に双方に〇〇を持たせてみました。


私は〇〇を書くのが最も苦手でして、友人に言われて書いてみたのですが。無理ですね。

無理でした。

やっぱり経験が大切なのですかね。



〇〇、わかります?

〇〇ですよ。〇〇。漢字。



これからも不定期に星恋詩を載せていきます。

それから、NOTE!!も。


主催が作品を放置するのも何なので、ね。


ということで、これからもよろしくお願いいたします。

男の行く末を見守ってあげて下さい。


Sky
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カテゴリ: 星恋詩※連載中

テーマ: 自作小説 - ジャンル: 小説・文学

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コメント

○○……

何でしょう?
恋心?
悲しみを食べるという乙女の言葉に対して、喜びも悲しみもその人を作っている大事な要素なんだよ、と思わず心の中でつぶやいたら、男が更に素敵な言葉で語ってくれたので、何だか嬉しくなりました。
「私の今まで」……言葉のひとつが生きているなぁ、と思いました。
それでも先へ進むのですね(^^)
どんな旅が待っているのか、とても気になる、そして透明で優しい風景が目に見えるようでした。
それから、表紙絵もいいですね。
もったりした質感(変な表現で済みません)が伝わってきて、触りたくなるような感じです。イラストも素敵。本を読んでいるのがいいですね。
読書の秋、って感じ。色あいも夏から秋に移る季節を感じます。

大海彩洋 #nLQskDKw | URL
2013/09/09 23:44 * edit *

彩洋さま

こんばんは。

おお、そのようなものですよ。正解です。
只、昔少しあった、というだけなのだろうと。

そうですか、ありがとうございます!
ええ、先へ進むのですよ。彼が自分自身を知るまで。
それは私もまだ解っていなくて、彼と共に成長出来たら、と思っています。

この話から、男と人々の出会いの話になります。
伝えられ、伝え、少し成長する旅に。
透明な雰囲気を出せているようでしたら、幸いです。

ありがとうございます。
表紙絵は、秋になったということで、テーマは〇〇の秋でして。
それで、無理やりキノコ……
全体のカラーもソレっぽくしてみたのですが、どうだろう……。
秋っぽいですかね?
移り変わりの季節です。御身体に気をつけて。

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2013/09/12 17:15 * edit *

こんばんは。

作風が微妙に変わったようでいて、やっぱり、スカイさんの作風です。

天から落とされてしまった、もしくは降りてきた二人。境遇は同じでも、二人は違う。たぶん、乙女は地上で生き、地上のやり方にあわせる事を受け入れてしまったのに対して、男の方はまだ心だけは天の上にあるからなのかもしれません。

もしかして、天の上に想い人がまだいるのでしょうか。

久しぶりに星恋詩のイラスト付き降るバージョンを堪能させていただきました。続きを楽しみにしています。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL
2013/09/14 06:21 * edit *

こんばんは!

やっぱり美しい文章ですね。
サキはスカイさんのこのシリーズを読むときは、読書速度を限界まで落とします。
サキは小説を読むとき、リズムを持って読んでいった方がいい物と、一つ一つ言葉を味わって読んでいった方がいい物と、あるような気がするんです。スカイさんの「星恋歌」はサキにとって後者なんでしょう。
少しずつ読んで、目に映る情景や、聞こえる音、肌に当たる空気を想像しながら、感じながら進んでいきます。
星の欠片や湖やシャララは、サキの想像によって作られ組み立てられます。
澄んだ新橋色って?これは想像できませんが、天の川に等しく澄んでいる…で補っておきます。
へえ、2人は旧知だったんですね。彼女はこれからもここに居るのでしょうか?
彼はどこへ行くのでしょうか?
スカイさんの挿絵を参考にしながら、スカイさんの世界を楽しく歩かせていただきました。いいイラストです。羨ましいです。

ありがとうございました。

山西 サキ #0t8Ai07g | URL
2013/09/14 18:19 * edit *

夕さま

こんばんは。

作風、やはり微妙に変わってしまいましたかね……?
うーん、でもこのままでもいいか。

ええ、彼らは似た境遇だけれど、進んだ道は違うのですよね。
これから男がどう生きていくのか、乙女の様になってしまうのか、全く違う道を歩むのか。
書いて行きたいと思います。

えっ、男、お前……!(笑)
どうなのでしょう……?

本当、久々になってしまって……。
長い間描いていなかったので、絵も微妙に変わってしまったのですが、雰囲気が出ていたら……。
と思います。

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2013/09/15 22:57 * edit *

サキさま

こんばんは。

ありがとうございます!
おおっ、それは嬉しいです。
結構細部まで言葉を選んでいるので。表現とか、擬音とか。
そうやって読んでいただけたら、本望です!

新橋色……、これは補足として載せておきました。
一般的な色ではないので(私も書くにあたって発見した)知らない方の方が多いと思います。
一応、物語の最後に載せた絵の湖の色、アレが新橋色です。

ええ。それも、昔に天上で会っている。
彼女はこれからも此処にいるのでしょう。
そして、時々、紛れ込んだ獣の悲しみを喰らって生きるのでしょう。
彼女はそうするしかないのだと、私は考えています。

男のこれから、書いて行きたいと思います。
今度は、あまり時間を空けないように……。

こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました!

コメントありがとうございました!!

スカイ #- | URL
2013/09/15 23:19 * edit *

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