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『AGAIN』を書くにあたって 

こんばんは。

テストが無事に終了いたしました。


今日は、前回のSTELLAに出した、『AGAIN』の話をひとつ。


興味のある方は、追記より。お待ちしています^^♪



まだ読んでいない方はこちらから⇒AGAIN7.jpg



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『それから』 

前作を読んでいない方はこちらから⇒AGAIN7.jpg





stella white12


この作品は『AGAIN』の幾つかあるエンドのうちの一つです。

『AGAIN』は、読んでくださった方の数だけエンドがあります。

『それから』は、私が出したその後の一つの仮説です。

興味のある方は下記から……。






  
  『それから』


彼女が立ち去った後、彼はしばらく彼女が残した紙を見つめていた。
何を思ったのかは解らない。
ここからはただ、彼の俯いた横顔が見えるだけだ。精悍な顔。目の下に隈。
「さて」と独り呟き、彼が歩きだす。

もう少し。
彼が完全に向こうを向くまで……。

標準を合わせる。慎重に、そう自分に言い聞かせる。チャンスはたった一度しかない。
彼はたった一人で村一つ滅ぼしてしまう銃の使い手なのだから。
そよ風が吹いた。目元まで伸びた前髪が踊る。
集中するんだ。
葉が数枚地面に落ちる。

そして、引き金を引いた。

 弾丸は狙い通り、彼の膝を貫いたようだった。
彼は苦しげに悶え、その場にくずおれた。きっとその場で反撃してくるだろう、そう予想して茂みに身を隠す。そんな俺の横を、戻ってきた彼女は平然と抜かして行った。
止める間もなく、彼の倒れている方へ歩いて行く。俺は慌てて彼女の後を追った。

 心臓を狙おうと言った俺に、足を狙って欲しいと頼んだのは彼女だった。
理由を聞いても、お願いとだけ言い教えてくれなかった。チャンスは一度しかない、それなのに何故無駄にする? 言い聞かせても無駄なのは解っていた。言い始めると彼女は梃子でも動かないのだ。それにこれは、彼女の問題だ。
そして言われた通り、俺は弾丸を放った。
先に彼の元へ辿りついた彼女は、彼を無言で見つめていた。
それから、何を思ったのか彼を抱き起こし、近くの木へ寄りかけた。彼が苦しげに呻く。

 彼女が何を考えているのか、予想するのは難しい。
出会った時から気分を顔に出す人ではなかったし、積極的に何かを言う風でも無かった。ただ、いつも何かを考えているようで、青い瞳はいつも深く静かに揺れていた。

 彼女が彼の両肩に手を置く。彼は訝しげな顔をしたが、何も言わなかった。彼女の丸めた背が小刻みに震えている。
彼女は泣きじゃくっていた。こんなに気持ちを全身に出せるのか、とふと思う。彼女の涙を見たのは、彼女に出会った時以来だった。
涙がとめどなく溢れる。彼は無言で、ただ顔をしかめていた。
「どうして! どうして殺してくれないの!?」
 彼女が彼の肩を揺らす。彼は小さくため息をつき、彼女の両手首をつかんだ。
「私を撃てば、貴女を殺すと思いましたか?」
 物解りの悪い子供に話すように、ゆっくりと話す彼を彼女は無言で見つめる。青い瞳には、絶望の色が浮かんでいる。彼が目を伏せる。
「貴女は殺さないと言ったじゃないですか」
「だったら皆は……」
皆はどうして殺したの。震えた声で彼女が呟く。溢れでる涙を拭おうともしない。
どうして、どうして、としゃくりあげる。
「皆は何も、知らなかったのに!」
ぐいと顔を近づけられ、彼は上に顔を逸らし淡々と言った。

「貴女の村は、隔絶した場所に在ったし、村人たちは決して村から出なかった。貴女を除いては。だから私達は貴女の村を長い間見つけられなかった。村の近くを通った者は、帰らない。けれど、それは滅多に起こらなかったから、誰も村の存在を証明できなかったのですよ」
人食いの村と言い伝えられてきた彼女の村は、深い深い森の奥に在って、だから人々は見つけ出す事が出来なかった。時折通りかかった人を喰ってしまう、そんな村があるのだという噂は、どこからともなく吹いてきて、人から人へ語り継がれた。俺も祖母から聞かされた。そして、彼が証明した。
人の肉は、祭祀の時だけ祀って食べていたのだと、いつか彼女が言っていた。

「それは貴女の村も同じで、村を出た貴女以外は、それは当り前の伝統として受け継がれていたのだと私は思っています」
 彼が彼女を見つめる。けれど、と彼が言う。

「無知は罪です。だから、殺さなければ無かったのですよ」
 彼が淡々と彼女に語る。それは、彼自身に言い聞かせているようにも感じた。ふと目を伏せ、彼がため息をつく。まだ方法があったのかもしれないけれど、とぼんやりと言う。
「目の前で妻子を殺されてしまった時、説明しようだとか、そんな考えは浮かばなかったのです……」 

 彼女は何も言わなかった。涙は止まっていて、その青い瞳で彼をじいと見つめていた。
「貴女は、村を出た。そして外側から村を見た。貴女はもう無知じゃない」
 其処まで言って、彼は言葉を切った。
一度息をつき、はっきりと言う。

「私は貴女を殺せません」
掴んでいた彼女の手を離し、苦しげに顔を歪める。座っている彼の周りには血だまりができていた。
彼女は子供の様に首を小さく左右にふり、口に手を当てて座り込む。彼女のズボンが血で染まる。
彼は少し離れてみていた俺を見上げ、ジッと見つめて小さく笑った。
「上手いですね」
 血で染まった足を見る。彼が皮肉を言っているのか、本心で言っているのか解らない。俺は何と答えればいいのか解らなくて、目をそらした。
彼が彼女へ向き直る。

「私を殺して下さい。それで復讐は終わりにしましょう」
 ゆっくり顔を上げた彼女に、彼は儚く笑いかけた。目を見開いて、嫌だと彼女は首を振る。
「それとも私がここで熊に喰われるまで待ちますか?」 
 彼女が俺の方を見ると、貴女に言っているのですよ、と彼が声をかけた。どうせここにいても死ぬだけですから、とぽつりと呟く。
ようやく立ち上がった彼女に、これで、と彼が渡したのは彼が腰に吊っていた二つある銃のうちの一つだった。
「さよなら、お元気で」
 俯いてぎゅっと目を瞑る彼に、彼女が銃を向ける。

森に再び、銃声が木霊した。
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テスト期間 


テスト期間につき、真に勝手ながら訪問・コメントの返信を控えさせていただきます。

(テスト日:11月25日~27日)

NEC_720311a1.jpg



追記:無事終了いたしました!
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月刊STELLA11月号 

こんばんは。

月刊STELLA11月号を発刊するのは、2回目となりました!

去年と、今年と。


早いものですね……

STELLAを始めたのは、ほんの少し前だと思っていたのに……!


さて、今回の表紙もまたまた藍樹さんが作ってくださいました!

今回の表紙は、これは中々使えるのではないだろうか……なんて勝手に思っているスカイです。

これは便利、と藍樹さんから送られてきた画像をそのまま携帯電話の待ち受け画面にしました(笑)スカイはスマホじゃないです

ということで、お持ち帰りご自由に!と私が勝手に(いえ、許可は取っておりますので!)

前置きが長くなりました(笑)


それでは、月刊STELLA11月号お楽しみください♪



01KP_A3-16P_14-15 (12) 
aiki


novel
短編読み切り・連載作品番外編Tea timeに――

物書きエスの気まぐれプロット(アプリコット色のヴィラ) 
Debris circus  山西 左紀
八少女夕さんの【小説】夜のサーカスとアプリコット色のヴィラのキャラをお借りしています。

美しい世界 美しい時代 冷たい雨が雪に変わる頃
 
百鬼夜行に遅刻しました  ウゾ


魔女と魔導書の約束 
午睡の夢商店 -ライトノベルはじめました-  栗栖紗那

AGAIN  
星たちの集うSkyの星畑  スカイ

【百鬼夜行に遅刻しました】秋・菊 
コーヒーにスプーン一杯のミステリーを  大海彩洋

通常連載
長編・シリーズ …眠れない夜に――

夜のサーカスとブロンズ色の仮面 
scribo ergo sum  八少女 夕

アプリ・ディズ 
展示中。自作ラノベ&詩! 篠原藍樹

『あの日、星空の下で-Stella Osservazione Società-』第10話 Sign07. ライブラ・スターグローブ 
Court Cafe BLOG TOM-F

青ワタと泡沫の花 
藍玉の三月兎  玖絽

Thank you!!

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バトンを頂いてきました 

こんばんは。

山西左記さんの所からバトンを頂いてきました!




Q1 小説を書く時に始めにする事は何ですか。
A1 想像から生まれたある場所と、そこで行われる会話の一文、または風景描写などを気まぐれにノート等に書きます。
そこから人物や話が生まれてくれば、そのまま小説にします。

Q2 プロットはどの程度まで書き込みますか。
A2 人物と、大まかな話の流れと、最後の行に持っていく予定の文章を書きます。

Q3 キャラの名前や設定はどうやって考えますか。
A3 ネットや辞典から探してきます。合うものが無かったら、空白で物語を進めて、そのうち人物の方から名乗ってくれるまで待ちます。

Q4 キャラのセリフや仕草などの書き分けのコツありますか。
A4 一人称を変えたり……?
書き分け出来ないです。はい。
星恋詩とかは、人物を組む段階で変えるようにしてます。(身分差をつけたりして)

Q5 一人称と三人称の書き分け方、地の文書く時に気を付けている事は何ですか。
A5 その視点から解らないこと、読みとれない事は絶対に書かないようにしてます(当たり前ですが…… 汗)
あと、視点は変えないようにしてます(これまた当たり前?ですが……)

Q6 情景描写や心理描写のコツや勉強法はありますか。
A6 コツも勉強法もありません。解りません。凄く苦手です……!
心理描写が特に苦手です。help……

Q7 やってはいけない事は何ですか?
A7 ら抜き言葉とか?
言葉が足りなくならないように気をつけてます。あと、方言とか、ね(笑)

Q8 小説を書く時に自分なりの書き方、コツがあったら教えて下さい。
A8 とりあえず、ノートに書き綴ります(主に授業中に)
話が上手く流れなくなったら、会話文だけ書いていきます。間に後から描写を入れていきます。

Q9 上手いなと思う小説を教えて下さい。
A9 読んでいると、そこでみているかの様に想像できてしまう小説とか……ですかね……?
というか、皆様上手すぎて私がどうこういえる立場ではないのですが……!

Q10 最後に一言。今まで書いた作品の一文でもいいので何か書いて下さい。
A10えっ、一文……?
ええと、気に入っているのは、これです。
というか、書いた時は自分に言い聞かせるように書いていたのですが……

「後悔をして,足掻くことができたなら,それは後に喜びとなるだろうね.

一番辛いのは,何もすることができず,其の後悔の為に何度も振り返らなければならない時さ.

動くことのない時間が枷となり,キオクの闇に幽閉されるのは心憂い」

堕ちた姫の言葉。

あっ、ちょっとこれ恥ずかしい……!

はい、ありがとうございましたーー!!(逃
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『AGAIN』 

こんばんは。

さて、今日は月刊Stella11月号の締切日です。

ロム専になりつつあるスカイも、今回は参加します。滑り込みます。締め切りに。珍しく小説で(笑)

星恋詩以外の小説を、ブログに載せるのは初めてですが……(ううっ緊張!)

高校の企画に参加するのに書いた短編小説です。(出来立てほやほや♪)


通りにクリスマスツリーが増える中、物騒な小説行きマーーース

お楽しみいただけると幸い……



stella white12

AGAIN7.jpg




 その女性は唐突に彼の前に現れて、開口一番こう言った。
「私を殺してくれ」と。
 それからつうっと涙を流し、彼の足元にうずくまってしまった。
早朝人気の無い森を独り歩いていた彼は、反射的に構えた銃を慌てておろして謝るはめになった。彼女の名前は○○○と言った。(これは後で彼女が彼に話していた。)
 子供の様にうずくまる○○○をどうしたら良いものか、とおろおろと見つめる。彼は、彼女と彼を出会わせた神を恨んだことだろう。
無言でうずくまる彼女をじっと見ると、背が小刻みに震えているのがわかる。彼は大きくため息をついて、○○○の背中に呼びかけた。
「……何故そんな事を、私に頼むのです?」
 そう彼が訪ねると、○○○は何事もなかったように顔を上げて、
「ごめん、冗談」
 一歩退いた彼に、それだけ呟いた。
それから彼女は立ち上がり、頬にかかった長いブロンドの髪を耳にかける。彼女は男の彼が少し見上げてしまうほどの長身で、大層スレンダーな身体をしていた。明るい茶色の瞳には、涙の後は見つけられない。
「貴方、本当に私を殺す気だったでしょ?」
見上げる彼に悪戯に微笑み彼女は言った。
「……何故そう思います?」
「だって貴方、私に銃を向けていたじゃない」
 当たりでしょう? と小さく首をかしげる。
彼は一度彼女に見惚れたように動きを止め、すぐに険しい顔になった。
「それだけの事で? こんな森の中です。物音がすれば銃だって構えますよ。熊でも居るのかと思ったのです。気に触ったようでしたら、すみません」
捲し立てるように一気に彼が言うと、○○○はニヤリと笑った。
「あんな小さな銃で熊を倒すつもりだったの?」
笑いを含む彼女の言葉に、彼は一度目を丸くした。それからすぐに、嫌な顔をする。
「ああ……。その通りですね。貴女は正しい。確かに私は銃を構えましたよ。それは熊を殺すためなんかじゃない。けれど、だからと言って貴女を殺そうと思ったわけではありませんし、増して貴女の『殺せ』という頼みに応じるつもりは微塵もありませんよ」
はあ、とため息をつきながら彼が見つめると、彼女は涼しい顔で見つめ返した。
「何、怒っているの?」
目を逸らした彼の顔を、わざとらしく腰をかがめて覗き込む。
「怒っていません」
露骨に嫌な顔をする彼を、面白いものでも見るかのように彼女は見つめた。
「貴方、モテないでしょ?」
「余計なお世話です」
ニヤリと笑う○○○を横目でにらんで、彼はゆっくり立ち上がり、うんざりした顔で口を開く。
「そもそも何故見ず知らずの私に、あんな事を頼んだのです?」
彼が僅かに口調を荒げると、○○○は急に真面目な顔になった。一息ついて立ち上がって、近くにあった木にもたれる。
「私ね、死に損ねちゃったの」
「は?」
抑揚をつけずに話された彼女の言葉に彼は眉をひそめる。
「死に損ねちゃったのよ。独りで村を出て、暮らしていたの。成人してからずっと。けれどやっぱり村が恋しくて。仕事を切り上げて村で暮らそうと思って戻って来たのよ。
それが皆……殺されていたの」
もう嫌になっちゃった、と呟き○○○は下を向く。表情は解らない。
「ええと……いつ?」
俯く彼女に彼はそっと声をかける。
「一月前」
すぐに返事が返された。
そしてそれだけ言うと彼女は、俯いたまま木の幹に身体を擦り地面に倒れ込んだ。
彼が驚いて、○○○に駆け寄る。彼の位置からは彼女の顔は隠れて見えなかったが、小さく鼻をすする音が聞こえ、一先ず胸をなでおろした。
周囲を確認して、彼女の隣に腰を下ろす。
「ごめん、見ず知らずの貴方にこんな姿を見せてしまって」
「今更何を言っているのです? もういいですよ。好きなだけ泣いて下さい。私が周りを見ていますから」
膝まであるロングブーツの紐を弄りながら彼がそう言うと、彼女は小さく「ありがとう」と言い、それからしばらくうずくまって動かなくなった。時折○○○の背が小刻みに震えるのがわかる。
彼がまた、立ちあがって周囲を見渡す。
特に何も無い。
動くものは何もない、鬱蒼とした静かな森である。小動物は何匹か遠目に見た。大動物は幸いまだ出会ってはいない。だから彼は無傷でここにいる。
熊がこの森に居るかどうかは解らない。けれど、足跡、糞それから抉られた木。
証拠がまるで、一つもない。
だからきっとこの森には居ないのだろう、と彼はとっくに結論を出していた。
それこそ、彼女と出会うずっと前に。
彼がもう一度、黒い目を細めて周囲を見渡す。まるで時が止まっているように、音はなく動くものはない。
背の高い木の隙間から見える小さな空を見上げ、一つ大きくため息をついた。
長い、長いため息。
どうしてこうなってしまったのか――。と、そう語る様な。
木々の間の小さな空を、鳥が一羽横切った。
木が揺れて葉が一枚落ちてくる。それは彼の足元に落ちた。そしてまた、無音になった。
数歩離れた地面へ目を落とすと、○○○はまだうずくまっていた。泣いているのか、寝てしまったのか彼の位置からは解らないだろう。ゆっくりと目をつぶり、もう一度開かれた彼の瞳は儚く揺れていた。
彼はまた小さくないため息をついて、樹の幹にもたれる。
黒いジャケットの胸元を緩め、銀のロケットペンダントを取り出し、開く。中の写真は四人の家族で、右側に立っているのが彼だった。隣に立つ女性を見て微笑んでいる。手は座っている息子の肩に置かれていた。
写真の下に小さく、家族の名が刻まれている。しばらく見つめた彼は、ロケットを閉じ両手で握りしめて、大切そうに服の中にしまった。
大きくため息を吐き、腰に吊るした銃をおもむろに手に取る。手を伸ばして真っすぐ構えられた銃は、どこを狙うでもなくすぐに下ろされた。
間髪いれずに彼の耳が幽かな音を拾い、下ろした銃を持つ手に力がこもる。
それは○○○が立ちあがった音で、彼女は両手で髪をかきあげ、うーんと伸びをしていた。
「見ていてくれたの? ありがとう」
「そりゃあ、約束ですから」
土を払って立ち上がる。やはり彼がほんの少し見上げる形になった。とても整っている顔だ。睫毛が凄く長い。彼女はよく見ると非常にラフな格好で、腰には銃を吊っていた。動きには隙がない。まるで豹の様な――
「惚れちゃった?」
ニヤリと笑って○○○は言う。
「まさか。ご冗談を」
彼が淡々と返事をすると、つまらないの、と呟いた。それより、と彼が言う。
「もう良いのですか?」
「……うん。ありがとう」
寂しげに微笑んだ彼女の瞳には、やはり涙の跡は見られない。
「ごめんね。立ち止まらせてしまって。何処かへ行く途中だったのでしょ?」
「……いえ。特にあては無いので。大丈夫ですよ」
ごめんね、ともう一度呟いた彼女に、彼は一瞬寂しげな顔をして小さく微笑んだ。
「貴女は、これから何処へ?」
「私も、決まっていないなあ……。もう街に戻る気もしないし村へも戻れない」
彼女もつられて小さく微笑む。薄い茶色の瞳は少し陰っていた。
「では、お互いあての無い旅ですね」
「ははっ、そうね。良い旅路を」
「そちらこそ、良い旅路を」
 村と反対方向へ進む○○○の背中を静かに見送って、先へ進もうと振り返る。
彼がふと視線を落とすと、彼女が居た場所には丸まった紙切れが数枚落ちていた。一枚を拾い上げて開く。それは、人を喰うと伝えられてきた種族の村『※※※※※』の絶滅を知らせる一月前の記事だった。下に村が滅ぶまでの間犠牲になった人々への追悼の文と、彼らの名前が箇条書きで添えてある。
そこには、先のペンダントの家族の名も載っていた。彼はしばらくその名を見つめ、やがてゆっくり記事を閉じた。腰を屈めてもう一枚を拾う。それは、※※※※※の村人達を殺して消息を絶った一人の男の写真だった。
写真の中の男は、紛れも無く彼だ――。
彼は暫く紙を見つめ、まとめて丁寧に折りたたんでズボンの後ろポケットに入れた。
それから、上着の胸ポケットを探り煙草の箱を取り出す。箱を開け一本取り出して口元まで持っていったが、つと遠くを見つめ、吸わずに箱にしまい胸ポケットに戻した。
「さて」と独り呟き、ゆっくりと足を踏み出す。

静かな森に、銃声が轟いた。
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